人手不足の今こそ省力化に取り組もう
- 2024年10月23日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
- 人手不足
- 省力化
「人手不足で採用できない」、という声をあらゆる業会の方から伺います。少子化が続く中で、今後も人を増やしていくのは困難なことが想定されます。デジタル化やAI、ロボット等を活用し、省力化に取り組むことで改善してみませんか。
省力化投資をして業務効率化を図ろう
省力化投資について、2024年版中小企業白書でも大きく取りあげられていました。人手不足が続く中、業務の改善と省力化を進めることは喫緊の課題と言えるでしょう。
(出典)2024版中小企業白書概要(案)から著者まとめ
業務を改善し、効率化を図るためのフレームワークとして「ECRS」があります。これは、業務改善を行う際の手順と視点を示したものです。ECRSは、Eliminate(排除)、Combine(結合と分離)、Rearrange(入替えと代替)、Simplify(簡素化)の頭文字を取ったものです。
業務改善を進める際、まずEliminate、つまり不要な業務を排除することから始めます。業務をやめることで、省力化が実現されるのです。
「やめると効率化」については、以前の特集記事でも掲載していますので、ご確認ください。◇やめると効率化!?はじめてのデジタル特集ページ何をやめる?〜飲食店の場合~
では何からやめればいいのでしょうか?飲食店の例で考えてみます。
①レジを打つのをやめる!?会計の際に、お客様が伝票をレジまで持ってきた場合、注文されたメニューをレジに入力し、合計金額をお伝えします。しかし、レジでの入力作業は無駄ではないでしょうか?
お客様から注文を取って伝票に記載しているのであれば、手書きで注文内容を記録し、その後レジで再度入力するという二度手間が発生しています。
最初からスタッフがスマホなどで注文を入力(オーダーエントリー)すれば、レジでは金額を確認してお会計をするだけで済むでしょう。
こうして、レジを打つ時間が省力化されました。
②注文を受けるのをやめる!?
続いて、注文を受けるのをやめるのはいかがでしょうか?お客様がスタッフを呼んで、口頭で注文すると、お客様は話し、スタッフは注文を受けるという二重の動作が発生します。注文をお客様にスマホやタブレットに直接入力してもらえば、注文を受けるという作業が減ることになります。注文を確認して、料理などを提供した後、レジにも注文データが流れますのでレジ打ちの必要もありません。
こうして、注文を受ける時間が省力化されました。
またAIも進化しており、お客様の口頭の注文を音声データとして聞き取ってそのまま注文できる仕組みもあります。今後、導入が増えていくことが予想されます。
もちろん、注文やレジ業務がデジタル化されることで、お客様との接点が減少し、無機質な店になる可能性もあるでしょう。しかし、人手不足を解消するため注文やレジといった手間のかかる業務を削減することで、より本質的な接客サービスを充実させることができます。
その他、飲食業のデジタル化については特集ページがありますので、こちらもぜひご覧ください。
活用できる支援制度(補助金)
デジタル化による省力化については、国等の各種補助金の対象となる場合があります。例えば、
①レジ打ちをやめるためのオーダーエントリーの導入であれば、「IT導入補助金」が利用できるかもしれません。
②注文を受けるのをやめる場合も、モバイルオーダーであればIT導入補助金、券売機で注文してもらう形であれば、「中小企業省力化投資補助金」が利用できるかもしれません。
中小企業省力化投資補助金は、カタログに登録されている様々な製品カテゴリの中から、適切な製品を選択する必要があります。例えば、飲食店で利用できる券売機であれば(2024年9月末時点で)32件の製品が掲載されています。
まとめ
人手不足が続く中、省力化の取り組みは必須と言えるでしょう。今回は飲食店の例を挙げましたが、他にも、例えば宿泊業では自動チェックイン・アウトを導入しているところが増えています。
現代では手間がかかるところはなるべくAIや機械に任せて、人間にしかできない業務に注力することがより求められているのではないでしょうか。